空の散歩が終わり、僕たちは地面へ戻った。

「うーん楽しかったぁ。」

背伸びをした僕がふと辺りを見渡すと、風子ちゃんがどこにもいない。

「風子ちゃん…風子ちゃん!」

僕が呼び続けると、風が吹いてきた。

「大地くん。」

「風子ちゃん!?」

小さな小さな声が聞こえた。

でも、風子ちゃんの姿は見えない。

「ごめんね、急にいなくなって。
時間が来ちゃったの。
そのうち声も聞こえなくなるわ。」

そうか、もう風子ちゃんは消えてしまったんだ。

秋は終わって、冬になるんだ。

「大地くんと一緒に遊べて楽しかった。
本当に、本当にありがとうね。」

「僕も風子ちゃんと遊べてすっごく楽しかった。
ありがとう!」

風車のカラカラという音が小さく聞こえる。

「風子ちゃん、また会える?」

僕は聞いた。

「わかんない。」

風子ちゃんの寂しそうな声がした。

「あたしたちは毎年秋になると、去年とは別の所へ降りるの。
来年や再来年はだめだけど、いつかまたここに、大地くんのいる町に降りるかもしれないわ。」