水城は家までの道順を教えてくれた。
「蓮山さん!」
「お?もう終わり?」
「水城医院ってご存知ですか?」
「ああー、知ってるけど・・・・・・」
水城はそこの病院の娘らしい。
「そこまで連れてってもらえますか?」
「この、不良お嬢様。またなにか企んでんなぁ~?」
ユリ子はにっこり微笑むと何も言わずにバイクに乗り込んだ。
蓮山もそれ以上きかなかった。
「佐瀬さーーん」
手前で手をふる水城の姿。
後ろには『水城医院』と掲げた看板。
「水城さんっ」
バイクはやはり目立つ。
蓮山曰く、人はみんな耳が慣れているからうるさく感じないんだそう。
けれど、ユリ子はよく響くバイクの音と一緒に、朝の住宅街を走行するのは引き目を感じる。

