「あった!」
ユリ子の探し物はすぐに見つかった。
水城の電話番号。
「・・・・・・イタッ」
バイクが急に止まるものだから、ユリ子はその反動で蓮山の背中にぶつかった。
「両手離して危ないことはじめるからだろ?」
「・・・・・・うう」
ユリ子は確かに体勢を立て直すのが困難だった。
蓮山の背中にぴったりとくっついて、離れられない。
現状がわかると、ゆっくりと蓮山の体温を感じた。
───恥ずかしい!離れなくちゃ。
「お前、冷たいな」
そんなユリ子のほっぺはほんのりあったかい。
ユリ子はほっぺに蓮山の手が当たっているとわかった。
「・・・・・・ひゃぁ!」
「な、なんだよ」
その声に、蓮山は思わず手を引っ込める。
「え、と、その・・・・・・」
昨日の夜に引き続きやっちゃったよぅ。
だって、だって、
意識しちゃったんだもん。
「アホらしー」
お前らみてらんない、と弘人は一足先にいってしまった。
「あはは」
蓮山の顔がほころぶとユリ子も澄まし笑い。
「ふふふ」
ふたり、テレながらみつめあった。
今のふたりを男女の関係の言葉であらわすとしたら、
「いい感じ」。
「い、いくぞ」
蓮山がアクセルを開けようとする。
「は、はい!」
ユリ子はしっかりと蓮山の背中を掴んだ。
「あれ?さっきなんか探してなかったけ?」
「そうでした!電話したいと思ってたんです」
「俺、持ってるけど?」
「え?」
「ケータイ」
「・・・・・・貸してください」
「どうぞ・・・・・・」

