外に出ると、太陽はもう顔を出していてじりじりと地面を温めだしていた。
「あれ?もうひとつあったんだ」
ユリ子は昨日乗ったバイクの隣にあるグレイのスクーターをみていった。
昨日乗ったバイクは白いボディに赤いラインの入ったバイク。
みるからに速そうなボディライン。
「今日はこっち」
蓮山がグレイのバイクに跨(またが)る。
「原付ってひとり乗りでしょ?」
手渡されたヘルメットを装着しながらユリ子。
「違います。これは原付二種です。125ccだから二人乗りできます」
毎度同じ説明をしているらしく、蓮山は棒読する。
ユリ子は乱暴に後ろに座った。
「ごめんなさいねー。なんにも知らなくて・・・・・・」
「?どうした?しっかり掴まれよ」
昨日は安全面を考えて、ユリ子は蓮山のカラダに手を回して乗っていた。
「今日は、ここでいいです」
蓮山が振り返ると、ユリ子は荷物置き場をしっかり掴まっている。
「落ちんなよな」
蓮山はバイクをゆっくりとスタートさせた。