ユリ子は乗り込むと財布を確かめた。

三千円とクレジットカード。
クレジットカードは居場所がばれてしまうから使えない。




思わずため息がでる。

持ってきたのはカバンのみ。

できれば2、3日は家からはなれたい。




通学時間なので込んでいた。

バスの奥までは行けず、入り口付近で絶えず激しい人の波がユリ子に押し寄せてくる。


少し、はきそうだ。





椎名はユリ子の様子をバレないように、後方でみていた。

雨予報のためか異様に込んでいて、
ユリ子にはすぐに近づけない距離だ。



こんな時にユリ子の身になにかあったら・・・。


椎名に不安がよぎる。