ユリ子は乗り込むと財布を確かめた。
三千円とクレジットカード。
クレジットカードは居場所がばれてしまうから使えない。
思わずため息がでる。
持ってきたのはカバンのみ。
できれば2、3日は家からはなれたい。
通学時間なので込んでいた。
バスの奥までは行けず、入り口付近で絶えず激しい人の波がユリ子に押し寄せてくる。
少し、はきそうだ。
*
椎名はユリ子の様子をバレないように、後方でみていた。
雨予報のためか異様に込んでいて、
ユリ子にはすぐに近づけない距離だ。
こんな時にユリ子の身になにかあったら・・・。
椎名に不安がよぎる。