お嬢様とヤンキー





「話の続き。そのころ俺、ちょっと悩んでてさ。バイクに乗ったら何もかもぶっ飛んだんだ」

蓮山は今度は少しトーンを落として淡々と話す。


「だから、少しでもユリ子がおんなじ想い感じてくれたら、すごく嬉しい」

ユリ子はにっこりと笑う。



「バイク、今日も乗せてください」


「おお!明日も明後日も明々後日もいいぜ」



ユリ子は表情を曇らせたかと思うと、何かを思い出したように目を見開く。



「そうそう!族って、なんですの?」


「・・・・・・やっぱり、気になってたんだ」



昨日の夜。

弘人がいるし、もう隠すこともできないだろうし、ユリ子を気にせずに弘人の報告を聞いた。



暴走族って単語でたとき、ユリ子は目を輝かせて俺を見つめてたっけ。

話の間に割ってはいることのできない話題だっただけに

今になって聞いてきたのだろう。




昨日のケンカは中止になって、今日の朝礼でメンバー発表する。

これだけのことだが、
さすがに暴走族という単語がなくては語れなかった。



「族って言うのはなー」