「開けろ!そこにいるのはわかってんだよ!」
ドアの向こうから男の声。
蓮山が立ち上がって、ドアの方へ向かった。
「待って!開けないで」
「ん?」
あまりに動揺するユリ子を蓮山は不思議そうに振り向く。
「私を探しているのかも」
「あはは!違うよ。俺のダチ」
「ご友人?」
「ゴユウジンねぇ・・・・・・」
蓮山がドアを開けると、そのゴユウジンはあがりこんできた。
大きな体をしていて、蓮山よりも10センチほど背が高い。
「恭介、てめぇ!・・・・・・これはこれはどうも」
蓮山のゴユウジンはユリ子を見ると急に態度を変えた。
「こちらこそ」
ユリ子もお辞儀をするが、まったく品格が違う。
ゴユウジンもユリ子のお辞儀に圧倒されて、蓮山をひじでつつく。
「おい!誰だよ、紹介しろっ」
しかも、あの衣装着させて、趣味か?とユリ子に聞こえないように耳元で言うが、
蓮山は無視した。
「コイツ、俺のご友人の星弘人です。二年半の付き合いです」
「なに言ってんだよ、もう1、2、3・・・・・・十年以上の付き合いだろ!?」
「え?そうだっけ?」
ユリ子はふたりのやりとりが可笑しくてクスクスと笑う。
弘人と呼ばれる人は見た目ほど恐くないとわかって安心した。
「私、佐瀬ユリ子と申します。蓮山さんには今日出会いました」
そして、初恋の相手です。
なんちゃって。
ユリ子はひとつ間を開けて、そんなことを考えた。
「仲いいんですね」
そして、ふたりの感想を述べた。
私にはそんな友だちいない。
ユリ子はうらやましそうにふたりをみつめた。