「待って!置いてかないで」



立ち上がって必死に向かってくるユリ子の姿は


胸を打つものがあった。



求められている、気がした。


きっと、俺、こうゆうの嫌いじゃない。




「きゃっ」


ユリ子が慣れない砂浜で足をとられる。

「危ないっ」



蓮山は、ユリ子の届く手をとった。


「あ、ありがとう」


「行くぞ」



そのまま、歩いた。


手は離さない。


繋いだまま。






手と手が熱を帯びる。


相手を感じる。




にっこりと、蓮山を見上げるユリ子が

月明かりに照らされて、決め細やかな白い肌が一段と美しく、

蓮山の目に映った。