だからユリ子に聞こえないように距離をとった。
「もしもし?俺。恭介」
蓮山が電話をすると、向こうは騒がしかった。
「お前どこにいんだよ!副総長がいないんじゃ話しになんねぇ」
「お前がいるじゃん、弘人(ひろと)」
星弘人(ほしひろと)は族に一緒に入団した同期。
なんでも話し合える、族の中でも唯一のダチ。
「なにバカ言ってんだよ。総長怒ってんぞ。」
「総長いるなら怖いものなしだろ」
「バカ!・・・・・・お前が一番強いんだから」
少し間が開いたのは、総長が近くにいないか確認したんだろう。
怯えてる弘人の様子が目に浮かんで、
ちょっと笑える。

