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「彼女?」と、ユリ子から聞かれたとき、蓮山はどう答えようか迷った。
ヤンキー仲間と電話すると、
しかも、今日決行する予定だったケンカを休む連絡をすると、
お嬢様には言えない。
一時の気の迷いとはいえ、すぐにお嬢様として家に戻るのだから。
族に入ってる。
そういえば、きっとユリ子は「まあ!」と驚いて、
どんなことしているの?
どんな人たちがいるの?
と、興味を持ち出して、ついには
一緒についていっていいかしら?
と、言い出すだろう。
族の世界に一歩踏み入れたら、最後。
そう簡単に抜け出せることができなくなる。
そんな世界なのだ。

