薬を飲んで落ち着きを取り戻したユリ子は、真っ赤になる。
えっちなんて。
口にしなくてよかった。
「お嬢様、手を出してください」
ユリ子が椎名から預かったのは、小さいピルケース。
「これ、3日分の薬です」
それは椎名のお許しがでたことを意味した。
「ありがとう、椎名。大好き」
「3日間だけですよ。旦那様には、お嬢様はしばらく家に帰りたくないと、ご友人家に泊まる。と言っておきます」
「さすが椎名!ナイスアイディアよ!」
椎名は照れ隠しに、次々とお節介おばさんのように付け足した。
「朝と夜に食後に1定ずつです。必ず飲んでください」
「は〜い」
「もし、帰りたくなったらすぐ戻ってください」
「ん、」
「具合悪くなったって、説明すれば怪しまれませんから」
「椎名」
「なんですか?」
「ごめんね」
「いいですよ。お嬢様の執事は首なんて気にしていたらやってられません」
「椎名・・・・・・」
「おい、なにしてんだ?」
蓮山の電話が終わったようだ。
声がすると、椎名は闇に消えていった。
ありがとう椎名。
連れ戻すチャンスなんていくらでもあったのに
私の気持ちいつも優先してくれて
本当にありがとう。
「海をみていたの」

