階段を上がってから、
ふたりで話し合ってバイクですこし移動した。
思ったより人が多くて、花火をやるには迷惑だと、ユリ子が提案したから。
蓮山はお構いなしにやるき満々だったけど。
すると、すぐに、こじんまりとしたスペースを発見した。
まるで、プライベートビーチ。
6時半。
この時間、この街の大半の浜辺が海に沈む中、
ちょっとした浜辺が残っていた。
「風強いな」
蓮山の髪の毛がさきほどから一向に留まりそうにない。
海風は吹き続けている。
「あそこの岩影は?」
ユリ子の身長大の大きさの岩がゴロゴロ置いてある。
「そうするか」
昼間はあんなに綺麗な海だったのに、
夜の海は真っ暗で光を吸収しているみたいで、
気味が悪かった。
まるで、現実に引き戻された気分。

