海辺にバイクを止めて、ふたり、砂浜に座りながら海を眺めた。
潮のにおい。
サラサラとした砂浜。
ペタペタとはりつく風。
鬱陶しい暑さも海のせいだと思うと、許してしまう。
ひたりは黙って自然を
海を感じた。
会話が無くても、不思議と気まずくはなかった。
むしろ心地よい。
日が落ちるに連れて、潮が満ちてきた。
ユリ子の心をも満たしてゆく。
「そろそろ、高台にあがろう」
「もう少し、居たいわ」
「だめ。ここの満ち潮は結構な高さまでいくんだ、ほら」
蓮山が指差すそこは、人がふたりぶんあっても足りないくらい、高い。
そう言えば、
結構な数の階段をおりてきたっけ。
「あそこまで、海になる。上にちょっとした駐車スペースがあるからそこで花火をしよう」
うんと見上げたそこには、
積み上げれたテトラポッドに、藻らしきものがついていた。
ユリ子は身の危険を感じ、階段を駆け登った。

