「・・・・・・っリ!ユリ?聞こえてる?」
「はい!ごめんなさい、ぼーっとしてました」
「左!」
「ひ、左?」
ユリと呼ばれて、鼓動が一回ドクンと強くなった。
ユリ子は言われた通り、目線を移す。
「・・・・・・左がどうかした、!」
言葉を失った。
サンサンと輝く太陽に
まるでそれはキラキラと、乱反射する宝石のよう。
「海だあ!広い・・・・・・」
広すぎる。
地平線がピンと張って
ずっとずっと、永遠のように伸びている。
なんか、泣きそう。
空が、コバルトブルーとピンクだ。
この二色のグラデーションが似合うのは、空だけだ。
帰りたくない。
このときユリ子は心から思った。

