お嬢様とヤンキー



「お前、何言って・・・・・・」
「やだぁ!蓮山くんって、ちょおお〜っ、恥ずかしがり屋さんなんです」

補導員にみせつけるように、ユリ子は蓮山の腕にスルリとユリ子の腕を絡ませる。


蓮山は呆気にとられた。


「私ったらドジで、制服濡らしちゃったんです、ほら」


カバンを開けて濡れた制服をみせるユリ子。


蓮山も横目で確かめたが、白馬台高校と思わせるには十分な細工。

制服は言葉通り、濡れていた。






・・・・・・コイツ。



ほら、ね?、と、ユリ子がニッコリ笑うと、補導員は苦笑い。

すっかり信じきったようだ。



「遊びはほどほどにな」

悪びれた様子もなく、補導員は偉そうにコンビニから出ていった。



見送ってから、ユリ子は怒りだした。


「なんですの、アレ。疑って悪かったとか、謝罪の言葉はないわけ!?」


「クククッ・・・・・・」


「なに笑ってらっしゃるの?」


「いや、お嬢様にしとくの勿体ないと思って、プププッ」

蓮山は込み上げる笑いを抑える。



「そんなに笑わないで!トイレまで聞こえてきたのよ。これは大変だと思って、すぐに思い付いたの」


それで、急いで制服濡らして、演技もしたわけか。


蓮山は今度は声高に笑った。




そのあと、花火を買ってコンビニをでた。


バイクに乗って、宛もなく走った。


今度の風はふたりを優しく包み込む感じ。



ふたりともさっきのことがあってハイテンションだった。

「しかも、ちょおお〜ってなんだよ」

「ギャルっぽくしましたの」

「ギャルっぽいかあ〜?」

「チョベリバとか?」

「情報源、古すぎ」

「・・・・・・じゃあ今どきは?」

「MK5」

「まあ!今度使ってみます」


(信じちゃったよ)