蓮山の姿を、ユリ子は見つめていた。
この人、不思議。
見た目はヤンキーでこわいのに、時たまみせる優しさ。
悪いこといっぱいしたけど、きっと優しい人なんだろうなあ。
目が魅力的。
惹き付けられる。
蓮山の視線が人形からユリ子へ移った。
ユリ子は目をそらすことができない。
ニッと、蓮山が笑う。
ポトン
同時に、人形が落ちる。
見つめあったまま、ユリ子は声が出なかった。
「荷物ありがとう。はい、これ」
荷物と引き換えに、蓮山は拾い上げたぬいぐるみをユリ子に渡す。
「ありがとう、ございます」
胸にすっぽりとはまる、丁度いいおおきさ。
もしもの話。
もしも、普通の家庭に生まれて普通の高校へいったらこうやって遊びたい。
そんな想いがかなってる。
ぎゅうっと顔をぬいぐるみに押し付けた。
幸せ。
しかし、この幸せが永遠に続かないことなんてわかっていた。

