「ええ、いいなって思って」
「どれがいい?」
「え?」
ユリ子は質問の意図が読み取れない。
すこし予測する。
どれがいいってまるで・・・・・・。
「とってやるよ」
蓮山が目を合わせずに付け足す。
予想はあたり。
思わず嬉しい気持ちがさきにでる。
「本当!?あ、でもっ」
すぐに別の考えが出てきて、ユリ子は戸惑う。
よく考えれば、この人は今日はじめてあった人で、知らない人なのに。
「いいから、どれがいい?」
視線がユリ子に向けられる。
戸惑うユリ子に腹が立ったのか、蓮山の声がすこし強くなった。
喧嘩をする人の目だ。
その目に睨まれると動けなくなる。
「りんごを持っている・・・・・・」
ユリ子が指で示しながら説明すると、蓮山はすぐに理解した。
目が優しくなった。
「わかった。ちょっとこれ持って」
カバンをユリ子に預けると、蓮山は真剣な目をUFOキャッチャーへ向ける。

