「まあ!UFOキャッチャね」


映画の有名キャラクターがりんごをもっていたり、が三種類ほど表情を変えた人形があった。



小さいころ、ユリ子が父とみた映画。

最初で最後の父との思い出。



そのころから、ユリ子は他の人とは違うということに、気づいた。



外の世界にはこんなにも、楽しいことがたくさんある。



ユリ子は迷いなくゲームをした。

はじめてのUFOキャッチャー。



ボタンの操作さえ危うい。
決定ボタン。

「ああ〜〜」
ユリ子は一喜一憂するも、最後は力なく終わってしてしまう。

アームが思ったより動かなかった。


しばらく、ユリ子はケース越しに恨ましそうな目をして張り付く。




「あの、スミマセン。ちょっといいですか?」

男の人が100円玉を片手に迷惑そうに立っていた。



「ああ、ごめんなさい。どうぞ」


ユリ子が貼り付いてみていたため、UFOキャッチャーをやりたい人を遮っていたのだ。


ユリ子が一歩下がると、男の人がゲームを始めた。

終始、ユリ子は見つめる。



「さっきから見てたけど、あれ欲しいの?」