コンビニは自動ドアではなかった。


「ああ、それは手で押さないと」

蓮山はキーをとると急いでユリ子へと向かう。



ドアを開けてユリ子を通す。


「ありがとう」

左に傾けお辞儀。

ユリ子は丁寧に笑顔を作った。


入店のチャイムが響く。

「まあ!」

ユリ子は物珍しそうに店内を見回しながら奥へ進む。





蓮山はドアを開けたまま固まった。

今まで何度も女をエスコートしたことがある。


しかし、これほどまでに美しく礼をした者がいただろうか。




蓮山はユリ子の先ほどのお辞儀が焼き付いて離れない。