「ご機嫌はいかがですか?お嬢様」
「いまいちだわ。それより、スピードが落ちたみたい」
ユリ子はすっかり機嫌はよくなっていた。
しかし、蓮山の余計な一言が原因で再び悪くなった。
ユリ子は『お嬢様』と呼ばれたのが気にくわない。
蓮山はすぐに次の策を考える。
「コンビニでも寄ろうか」
「コンビニ!?まあ、素敵」
ユリ子は両手を合わせて、蓮山の提案に感激した。
手を放しても充分安全な速度。
「そんな感激して、なにか買いたいものでもあった?」
あまりの反応にたじろぐ蓮山。
ゆっくりと弧を描くように駐車スペースへ入る。
「買いたいと思ってましたわ」
「だから、なにを?」
「なにがありますかしら?」
想像がつかない、と、ユリ子は想像を膨らます。
ヘルメットを座席においた。
「コンビニはコンビニだろ」
「私、コンビニは初めてなんです」
「え?」
振り替えると、ユリ子はもう入り口に立っていた。
手招きしている。
そして、ユリ子は言った。
「ドアが開かないわ、早く来てちょうだい」

