バイクのメンバーが、スタートに位置着く。 「キョースケ!頑張って!」 ミンクが大きな声で蓮山を呼ぶ。 ユリ子は振り向いたときに、手を振っただけだった。 蓮山はすぐに、前に視線を移す。 ユリ子は行き場のない手をぎゅっと握りしめた。 手を振ったことに、気づいたのか、気づいていないのかわからないくらいの時間。 蓮山の髪がサラサラ揺れる。 その隙間から、ピアスがキラリと光る。