「恭介」
重圧のかかった声で総長が名前を呼ぶ。
確かにその迫力は総長だけある。
蓮山は謝ろうとして、口を開けた瞬間。
「俺だってわかってる。後で紹介しろ」
「え?」
「弘人の変わりにでるやつ」
「はい!」
「お前、変わったな」
低音の笑い声が響くと、総長はまっすぐ歩いていった。
蓮山は一瞬、総長を呼び止めようとしたがやめた。
かわりに笑みがこぼれる。
どうしてだろう。
ワクワクする。
「恭介!」
名前を呼ばれ振り向くとスタメンから外れたやつらからに呼び止められた。
「お前の走りなら大丈夫だよ」
「どれくらい距離あけて帰ってくるか楽しみにしてるぜ」
祭りの前はエールを送りあって戦争に備えるのが慣わしだ。
「ああ。必ず一番で帰ってくるよ」
蓮山は軽くあしらう。
目ではユリ子の位置を確認した。
まだバイクから降りられずにいる。