信号無視。

スピード違反。

先ほどの、運賃未払い。


ユリ子の一生分の悪いことをしているみたいだ。



黙り込むユリ子。

蓮山は特に気にしていない。

女の子の扱い方くらい知っている。
沈黙は蓮山からそんな余裕を感じられた。



これから出る道路に備えて、

蓮山はさらに右手をねじり、スピードをあげる。


バイクに乗ることを覚えたユリ子はさほど落ち着いたようで、多少の粗い運転でもついてくると判断した。






道路はちょっとした大通りで速度が速いのはあたりまえのようだ。

ただ、先ほどユリ子の視界にはいった住宅が車に変わって抜かしているのはおかしい。



ユリ子はそっとメータをよむ。



「ひゃっ!」



180キロ!


ユリ子は掴む力を強めた。