お嬢様とヤンキー


「どういう意味だ?」

弘人は薄々わかってはいたが、尋ねた。

「南北戦争をあなたの代わりに、と、言われました」

やっぱり。

弘人は上を向いた。

雲は姿を変え、色もにごり始めている。


「恭介が、さっきここにいた男が、そう言ったのか?」


「ええ。でも、僕もよくわからないのです。詳しく教えてくれませんか?」


弘人は椎名を睨んでやりたかったが、意味のないことはしないことにした。

本当にわからないようだ。




「なるほど。あなたとしてその南北戦争に参加すればいいのですね」

「ああ」

「でも、バレたら不味いんじゃあ」


「いいや。俺はあんまり目立たないからな。バレないよ・・・・・・それより」



椎名に聞きたいことが、弘人にはあった。


「どうしてそんなに強いんだ?ボディーガードでもない、ただの執事だろ?」