お嬢様とヤンキー


後を追う蓮山は弘人に声をかけた。

聞こえているのかいないのか、弘人はこの呼び掛けに反応しない。




道路の両端に竹藪がスラリと立っている。


駅から離れると、自然がたくさん囲まれたこの街。


さすがに、一本道を辿っていくとたった一件の人様の家ってほど田舎ではないけれど。



左右に曲がりくねった道を抜けると、蓮山はすぐに思い出した。


小さい頃、よく通った道。
車から覗いた風景によく似ているから間違いない。







「ここは・・・・・・」

「昔、よく戦っただろ?」
「弘人と?」

「覚えてないのかよ」

「ごめん。嫌いな習い事のひとつだったから」


たどり着いたのは道場だった。