その時の弘人の様子。
握りこぶしを作った手が震えて、怒りと悔しさで堪らないって感じ。
そんな弘人の肩に蓮山は腕を回して、愚痴る奴らに言ってやった。
「選らばてもないくせに。かっこわりー」
こうやってイチイチ偉そうなセリフ言うのも格好悪いけど、弘人を思うとアイツらが許せなかった。
弘人がどんなに頑張っているか、蓮山は知っている。
「よ、余計なことすんなよっ」
蓮山の腕を弘人は振り切った。
「おい、弘人。どこいくんだよ」
「学校」
「ああ、俺も一緒にいっていい?」
「勝手にしろよ」
弘人に払われたとき、受け入れてもらえなかったみたいで、少し堪(こた)えた。
―――勝手にしろよ。
かつて、蓮山が弘人によく放っていた言葉。
友達なんて煩わしくて、面倒くさいと思ってたとき、弘人はしつこくついてきた。
今なら、弘人の気持ちがすこしわかる。
蓮山は弘人の一歩後ろをついていった。

