「とりあえず」
蓮山は話を切り替える。
「トイレに行こう」
「なっ!そんなところではちょっとっ・・・・・」
ユリ子は切り替わっていなかった。
蓮山は笑いをこらえて怪訝な目を作ってユリ子に投げかけた。
「なに考えてんだ?ユリ子はいやらしいなぁ」
「なんでもないです!」
ユリ子は顔が真っ赤になる。
考えてしまったやらしいことを脳内から消すために、頭を左右にふった。
「やーらーしー」
「蓮山さん!」
からかう蓮山にユリ子は叫ぶ。
「恭介」
蓮山は人差し指をユリ子の口に押し当てる。
「え?」
「今から恭介って呼ぶこと」
「キョ、恭介」
ユリ子は確かめるように名前を言う。
名前を言うだけなのにとても緊張した。
「そう。今からそう呼んで」
「どうしてですか?」

