お嬢様とヤンキー





夕焼けの赤い光がふたりを照らして

伸びる影が重なった。




ふたり、確かめあうように離しては目をあわせて、





「好きなんだ」

「私もです」


お互いを意識する。



再び目を瞑り、


何度も何度も口付けを交わした。






昨日の夜とは違う濃厚なキス。





ユリ子は不思議に思った。
蓮山と出会った不思議なこと。


15歳のときはじめて家を出たいと思った。

実行にうつせなかったのはいろんな考えが頭のなかをぐるぐると渦巻くから。



今回もきっと、蓮山にあわなかったらすぐに家に戻っていた。

そして、今ごろ息苦しいあの場所でいつも通りの生活を送っていただろう。




やりたいことを思い切りできる楽しさを知ることもなかったんだ。





今が永遠ではないから、楽しいこともわかってる。


明日には戻らなければいけないことぐらいわかってる。




でも、



でもね。







「明日も明後日もずっと一緒にいたいです」



願うことだけは自由だよね。




お父様、お母様。

悪い子でごめんなさい。




家に帰ったらイイコになるから、今だけは好きなことさせてください。