「な、なにをおっしゃいますか!執事とお嬢様と言う関係なんですよっ」
「・・・・・・いや、執事とお嬢様だって、恋するだろ」
「なりません!」
「は?」
椎名の熱意に蓮山は固まる。
「執事とお嬢様と言う間柄にそんな感情が芽生えるなんてこと、あってはいけないのです!」
「あの、・・・・・・」
どうやら椎名の執事に対する想いに火がついたらしい。
「朝目覚めるお嬢様の寝ぼけた様子がどんなに可愛くとも、わがままを叶えたときの笑顔にだってときめいてはいけないのです!
わかりますか!?」
「はい、よくわかりマシタ」
蓮山はなだめるように肯定した。
すると、椎名は我にかえったようだ。
「申し訳ない。執事のこととなると止まらなくて。お嬢様にも呆れられたことがあるほどでして、」
「よくわかります。その気持ち」
蓮山だって、紫煙のこととなると熱くなる。
「ハハ、漢(おとこ)にはひとつくらいありますよね」
―――男の人ってそうなのかな。
ユリ子が言っていた「男」がわかった。
「それより、責任とってくださいね」
蓮山は椎名と目をあわせて言った。
「え?」
椎名はきょとんとしている。
「大事なメンバーをこんな姿にしてしまった責任」
蓮山は弘人を担ぎ上げて椎名を再びみた。

