「お嬢様・・・・・・、佐瀬ユリ子さまと待ち合わせですか?」
「てめぇ、誰だよ」
蓮山の後ろの少年が乱暴に反応する。
「あなたは一体何者ですか?」
蓮山は片手で少年を制する。
冷静な反応。
「僕は、佐瀬家の執事です」
「ひぇ〜、執事って。あいつ本格的なお嬢様なんだな」
「執事がなんの用です?ユリ子さんを連れ戻しにきたのですか?」
蓮山と椎名は弘人無しで話を進めた。
「いや、そうではないです。ただ、僕はお嬢様が心配で・・・・・・」
「なんだ。いるんじゃん」
―――理解のある人。
蓮山は椎名をみた。
若い、と思った。
「え?今なんと?」
蓮山の小さな声が聞き取れなかった椎名は聞き返す。
「いいえ。なんでもありません。ユリ子さんは家に帰りたくないと言っていました」
やけに丁寧な言葉遣いをする男だ。
椎名は思った。
「それは、存じ上げています。それより、お嬢様は?お嬢様はどうされたんですか?」
「それはこっちが聞きぇよ」
弘人が後ろのガードルに寄りかかる。
「昨夜、お嬢様になにかされましたか?」
椎名はふたりを鋭い目で睨んだ。
「なんにもしてねーよ。急に現れて、疑ってきやがって」
弘人が椎名へ近づく。
弘人はやる気だ。

