「今、何時?」
ユリ子は16時に待ち合わせをしている。
「15時くらい」
「ありがと」
まだ十分に時間があることを確認すると、ユリ子は窓の外をみた。
バスからみる空は、オレンジジュース色。
ユリ子は駅から学校に向かうバスからの風景は初めてだ。
すると、目の前に見慣れた風景が飛び込んでくる。
バス停のため止まった。
約束の時間までまだある。
「ごめん、百理。私、降りるね」
「え?」
「すみません、降ります!」
「ちょっと、ユリ子」
「また明日ね!」
「もう。ユリ子は無茶苦茶なんだから」
窓越しにさよならを告げて、ユリ子と水城は別れた。
*
そのころ、椎名は買い物へ出掛けていた。

