恭平は、病院を出た後、まっすぐあたしの家に寄った。
「……という訳で、紹介状を書いてもらって来たんだ」
病院でのいきさつを話し終えた恭平は、紹介状を背広の胸ポケットから出しながら言った。
「どこの病院って書いてあったの?」
あたしは、恭平にお茶を出しながら聞いた。
「いや、まだ見てない」
「病院から帰ってくる間、何も見ないで帰って来たの?」
「一人で見るのはちょっと、な……」
「なによ意気地なし。かして」
あたしは、恭平から紙を奪った。
あたしが見ようとすると。
「待った。俺が見る」
恭平が、紙を奪い返した。
そして、四つ折の紙を広げて中を見る。
…………。
ゴクッ。
生唾を飲み込んだ音が聞こえた気がした。
紙を開いた恭平は、文字を読んでから動かなくなった。
紙が、ヒラヒラと舞って、畳に落ちた。
「どぅしたのよ。どこの病院?精神科なんて書いてあるわけ?」
あたしは、もちろん冗談で聞いた。
そして、あたしも紙を拾って覗き込む。
『桜ヶ丘南産婦人科病院』
紙には、大きな字でそう書かれていた。
「さ、さくら……が、おか……みなみ、さん……ふ……じん……か?」
あたしの頭の中が真っ白になっている。
サンフジンカ?
えっ?
産婦人科?
「恭平、これ、サンフジンカって読むよね?」
あたしは、恭平に聞いた。
恭平も、あまり動いていないが、頭を縦に振っている。
「……ま、間違えて、違う紙持ってきたんじゃ、ないの?」
あたしの声が、少しかすれていた。
「だって、この紙くれたんだぞ。病院の先生が」
「い、行くの?」
あたしは、声をさらに嗄らしながら聞く。
恭平は、生唾を、今度ははっきり聞きとれるくらい。
ゴックン。
と、鳴らしながら。
「さ、産婦人科って、ニ、ニンシンとかそういうイメージが強いから、ちょっと、い、行きづらいけど、でも、普通の病気を産婦人科でしか治せないんなら、行くしかないだろぉ。内科も入ってるのかもしれないし……。ダイジョーブダイジョーブ」
と、声を裏返しながら言った。
「……という訳で、紹介状を書いてもらって来たんだ」
病院でのいきさつを話し終えた恭平は、紹介状を背広の胸ポケットから出しながら言った。
「どこの病院って書いてあったの?」
あたしは、恭平にお茶を出しながら聞いた。
「いや、まだ見てない」
「病院から帰ってくる間、何も見ないで帰って来たの?」
「一人で見るのはちょっと、な……」
「なによ意気地なし。かして」
あたしは、恭平から紙を奪った。
あたしが見ようとすると。
「待った。俺が見る」
恭平が、紙を奪い返した。
そして、四つ折の紙を広げて中を見る。
…………。
ゴクッ。
生唾を飲み込んだ音が聞こえた気がした。
紙を開いた恭平は、文字を読んでから動かなくなった。
紙が、ヒラヒラと舞って、畳に落ちた。
「どぅしたのよ。どこの病院?精神科なんて書いてあるわけ?」
あたしは、もちろん冗談で聞いた。
そして、あたしも紙を拾って覗き込む。
『桜ヶ丘南産婦人科病院』
紙には、大きな字でそう書かれていた。
「さ、さくら……が、おか……みなみ、さん……ふ……じん……か?」
あたしの頭の中が真っ白になっている。
サンフジンカ?
えっ?
産婦人科?
「恭平、これ、サンフジンカって読むよね?」
あたしは、恭平に聞いた。
恭平も、あまり動いていないが、頭を縦に振っている。
「……ま、間違えて、違う紙持ってきたんじゃ、ないの?」
あたしの声が、少しかすれていた。
「だって、この紙くれたんだぞ。病院の先生が」
「い、行くの?」
あたしは、声をさらに嗄らしながら聞く。
恭平は、生唾を、今度ははっきり聞きとれるくらい。
ゴックン。
と、鳴らしながら。
「さ、産婦人科って、ニ、ニンシンとかそういうイメージが強いから、ちょっと、い、行きづらいけど、でも、普通の病気を産婦人科でしか治せないんなら、行くしかないだろぉ。内科も入ってるのかもしれないし……。ダイジョーブダイジョーブ」
と、声を裏返しながら言った。

