あたしはオロオロしながら、恭平の顔色を窺う。

「ビョーインッ。電話っ……」

恭平は、苦痛に耐えながら言った。


そう!


ビョーインッ!


「待っててねっ」

あたしは、若月先生が待機している、病院に電話をした。

若月先生は、先月あたりから、恭平に何が起きてもいいように、病院に寝泊りしてくれている。

偶然にも、若月先生が出た。

「若月先生っ、恭平が大変なの!お腹が痛いって、倒れちゃったの!どぅすればいいの?」

「樹理ちゃん、落ち着いて、君が不安がっちゃ及川さんも、もっと不安になっちゃうよ。いいかい、よく聞いてね。まず、及川さんの楽な体制にもっていってあげて、大丈夫だよって励ましてあげながら、腰とか背中とか辛い所をさすってあげてて、私もすぐ行きますから、それまで一人で頑張れるかな」

「大丈夫。やるよ、あたし」

「よし、その意気だ。頼りにしてるよ、樹理ちゃん」

若月先生はそう言って、すぐ電話を切ってしまった。


あそこの病院から家までだったら、そんなにかからないもん。


それまでの辛抱だ。


その後は、若月先生が診てくれる。


自分にそう言い聞かせながら、あたしは恭平の所へ急いで戻った。

「恭平、まだ痛い?楽な体制になれる?辛いとこあったらさすってあげるから言って」

「いや、さっきより少し楽になったよ。俺また冷やしたのかなぁ」


よかった……。


車で十分もあれば着く所なのに、こういう時だけどぅして時間ってのは経つのが遅いんだろ……。


「いっ……」

恭平がまた痛がりだした。

「恭平、頑張って!すぐ楽になるから。若月先生もすぐ来るから!」


どぅやって励ませばいいんだろぅ。


代われるものなら代わってあげたいよ。


キキキキッッッ。

車のブレーキを踏む音が聞こえた。

「恭平っ、若月先生だよ。すぐ戻ってくるから待っててね!」

あたしは玄関に走り出す。

玄関のドアを開けると、若月先生がチャイムを押そうとしている所だった。