一月、元旦、新年早々快晴。

「恭平。お餅いくつ食べる?だってぇ、母さんが聞いてるよぉ」

「五個ぉ」


おいっ。


「そんなに食べられるわけないでしょぉ」

「いいんだよ。いっぱい食べなさい、お餅は母乳を作るんだから」


そーなの?


「でも母さん、恭平だってさすがに母乳はでないんじゃない?」

「そりゃまぁ、そぅだねぇ。赤ん坊出来て、そのうえ母乳までだされたんじゃ、樹理なんてお役ごめんだもんねぇ」


言いたいこと、言ってくれちゃって。


恭平も無事、退院して、年は新年になった。

恭平が入院した検査結果は、お腹を冷やしたための痙攣と言われ、特に異常はないと診断された。


人騒がせだと母さんに渋られたけど、仕方ないよね。お腹が痛くなったんだもん。


検査結果を聞いて、即退院して、恭平はその日から服部家でやっかいになっている。

あたしの冬休みが終わるまで恭平はあたしが家で面倒を見ることになった。

「樹理は、いくつ食べるんだい」

「よっつぅ」

「人のこと言えるのかい」

母さんに突っ込まれてしまった。

「だって、お餅大好きなんだもん。一個は、安倍川で。一個は、カラミ餅で。一個は、納豆餅で。最後に、お雑煮でしめるの。あーっ、たまんないね」

「自分で作んなさい」

「え~。母さんのが美味しいんじゃん。あたしはダメダメダメ」

「じゃ、きな粉と砂糖をまぶしなさい。大根を下ろしなさい。納豆をみじん切りにしなさい。それが出来上がる頃にお雑煮も出来てるよ」

恭平が隣の部屋で、あたし達の会話を聞いて、クスクス笑っている。

幸せだった。

三人で笑える日が来るなんて、絶対あり得ないと思っていた。

本当に若月先生には感謝してる。

テーブルには、正月料理が並んでいた。