保健室のベッドで横になっている恭平の顔は、真っ青だった。

安西先生は、恭平の手首を触り脈を計ったり、反応があるかどうか、耳元で声をかけたりしていた。

あたしは、心配だったから適当に理由をつけて保健室に居座った。

他の生徒や先生は各自教室へ戻って行った。

少しして、恭平の目が覚めた。

「あ、安西先生!及川先生が気がついたよ」

「お加減はいかがですか?」

安西先生は、恭平の顔を見て聞いた。

「すみません、大丈夫です。最近多いんですよ、でも、すぐ治りますから」

恭平の顔色は、大丈夫というわりには、あまり良くは見えなかった。

「及川先生。最近多いって、貧血が、ですか?」

「えぇ」

「……男性の方って、そう貧血にはなりませんのよ」

「先生、一回病院に行きなよ」

あたしは、安西先生に気づかれないように、さりげなく恭平の腕にしがみついて言った。

「私、上条先生と、教室の生徒たちに、目が覚めたこと報告してきますね」

安西先生は、そう言って保健室を出て行った。

…………。

…………。

「ごめんな、びっくりしただろ」

「……死んだかと思った……マジで……あのまんま目開けなかったらどうしようって……ホントに……ホントに……」

あたしの声は、涙声になっていた。

恭平はあたしを引き寄せて、ギュッと、抱きしめると「ごめん」と一言誤って、さらに強く抱きしめてくれた。