君とみた未来

「電話には絶対出るな、もし出て、俺達のことがバレたら、何のために一緒にいるのかわかんねぇからな」って。


でも、でもさ……。


もし、もしも、だよ、恭平に関する電話かも知れないし、もしかしたら、恭平かもしれないし……で、出ようか、な。


妹とか言っちゃえば大丈夫だよね。


あたしは、受話器に手を伸ばした。

チン。

取ろうとして、電話は切れた。

ホッ。

あたしは、ため息をついていた。

あたしは何もしないで、ただ恭平を待っていた。


恭平も、こうやってずっと待っていたんだろぅか、あたしがあのバイトをしていた時。


あそこは、当たり前だけど、クビになって行っていない。


そぅいえば、出産費用って、どれくらいかかるって書いてあったっけ?


恭平って、貯金いくらくらい持ってんだろ。


あたしは、全額おろしても、そんなにないし……。


あたしは、前に恭平が買った、出産の本を探した。

本は、本棚に立てかけてあった。

あたしは、手に取ると、パラパラとページをめくった。

「だいたい三十万はかかるんだ……。えーと。帝王切開の場合は割高になりますが、保険がきくので実際の支払額はずいぶん少なくなります。休日料金や深夜料金、正月料金などが加算される所もあります。って、すきで休日に産むわけじゃないんだから、そんなことで高くしないでよ。恭平は、三月の予定なんだから、正月料金は、大丈夫でしょ。休日と、深夜料金か、やっぱり、今のままじゃダメだ……待って……恭平って、赤ちゃんをどぅやって産むの?……どんなに考えても、三十万より高くつくんじゃないのぉ?」


やっぱり、バイトでも何でもして、お金つくんなきゃ、冬休みなんて短いんだから、ここで恭平の帰りを、のんきに待ってる場合じゃないよ。


「恭平、明日また来るからね」

あたしは、誰もいない部屋に叫んで、アパートを飛び出した。

帰りに、コンビニに寄ってバイト情報誌を買って帰った。

家に帰ったら、母さんが帰っていた。