「ひどいっ。そんな言い方ないっ。あんな体だって、こんな体だって恭平の体なんだよ、赤ちゃんだって、あたしと恭平の子供なんだよ、母さんいつか赤ちゃんほしいって言ってたじゃないっ」

「バカッ!誰も恭平さんに赤ちゃん産んでくれなんて頼んでないよっ。あぁ、気持ち悪い、男が赤ちゃん産むなんて」


気持ち悪いまで言うの?


確かに男でも雄でも、妊娠なんてありえないと思うけど。


「しちゃったもんは仕方ないじゃない!それは恭平のせいなんかじゃないんだから!でも、一番怖くて、不安に思ってるのは恭平なんだからねっ。あたしが妊娠して不安になるようなそんな思いじゃないんだから!だから側についててあげたいの!」


母さんなら、分かってくれるって、そう思ってたのに、やっぱりダメなんだ……。


「そんなに、恭平さんの所に行きたいのかい?」

あたしは、うなずく。

「じゃあ、行きなさい。でも、この家には二度と入れないからね。それでいいならさっさと出て行きなさいっ」

「なに、それ……」

突然の言葉に事態を把握できなかった。

「勘当するって言ってんだよ。恭平さんを選ぶんだったら、とっとと出て行きな!」

母さんの瞳にも涙があふれているように思えた。


どうして、こうなっちゃうの?


あたしは、母さんにも、手伝ってほしかったのに……。


ただ、近くにいて、あたしを励ましてほしかっただけなのに。


あたしは、とりあえず恭平に泣きつきたくて、家を飛び出した。

あたしの家と恭平のアパートは普通に歩けば二十分で着く距離だった。

鍵のかかってないドアを勢いよく開けると、テレビを見ている恭平を見つけた。

「キョウヘイィ」

あたしは恭平にしがみついた。

「どうしたんだよ、何かあったのか?」

あたしは、さっき起こった出来事を恭平に全て話した。

泣きながら話したから、時間がかかったけど、恭平には伝わったみたいだった。