十月、黄葉、肌寒い。

学校が始まると、さすがにあたしも恭平も、夏休みの時みたいに、毎日会うようにはいかなくなった。

あたしの情緒不安定な時期はあの時以来起こらなくなっていた。

祐子にめ美加ちゃんにも結婚の話は違ったことをちゃんと話した。

そんな折、恭平が母さんに、子供の事を言おうと言った。

「恭平ー。同窓会の葉書が来てたよぉ」

「同窓会?高校ん時のか、行きてぇなぁ」

恭平が、ちょっと懐かしそうに微笑む。

「みんな仲良くてさぁ。クラスまとまってたんだよなぁ。担任の先生も面白い人でさぁ」

「うん。前に聞いたことある。それで、教師になろうと思ったんだよね」

「よく、覚えてるな」

「うん」


付き合って、最初の頃に教えてくれたよね。


「大丈夫なの?そのお腹で」

「最近学校でよく使ってるてが、ビール腹になってきちゃいましてぇ、で通るんだよ」

「だって、同窓会冬だよ。お腹もだいぶ大きくなってんじゃないの?」

「あのな、男の太ってる奴見て、誰が妊娠してるなんて思う?まぁ最近俺は、他人の太ってる奴見ると、まさか、って思う時あるけどな。若月先生も言ってたろ。ストレスを溜めるのはよくないって。気分転換に、懐かしい友達に会って話しするだけなんだから、心配すんなよ」

「ほんとだよ。約束だよ。ばれるような事と、体に悪いことは絶対にしないでね」

「わかった、わかった。それより樹理、結婚式どこでやりたい?」


えっ?


結婚式?


「誰の?」

恭平が理科の教科書の縦の部分で、あたしの頭をコツンとたたく。

「ったいよ、それ。結婚式って、あたし達のこと?」

と、聞き返した。

「他に、誰がいんだよ」

「だって、前に、もぅ少し後だって言ったじゃん」

「……したくないのか?」