「どうしたんだ?何かあったんですか?」

とあたしと、若月先生に聞いてきた。

あたしは、なんて言っていいのか分からなくなってしまい、なかなか話しを切り出せなくなっていた。

言葉にしたら、泣いちゃいそうだった。

「樹理ちゃん、思ったこと素直に言った方が楽になるんだよ」

若月先生が助け舟を出してくれる。

あたしはコクンとうなずくと、恭平に向かって思い切って言ってみた。

「恭平、あたしのこと嫌いになった?あたしに赤ちゃん出来ないで、恭平に出来ちゃって嫌んなったから子供おろして違う人と結婚するつもりなの?」

恭平は、言葉を失ってあたしを見つめた。

「……おまっ。なに言ってんだよ。突然何言いだすんだ」

若月先生は、恭平の言葉を遮ると、あたしに向かって質問した。

「どうして、そう思ったのかな?今までそこまで考えてなかったでしょ」

「……だって、あたしには、赤ちゃん出来なくて……恭平には出来ちゃって……なんだか、神様が、あたしは女性として欠陥人間だって言ってるみたいで……。恭平には似合わない女なのかなって思えて……。学校では美加ちゃんが、恭平が誰かと結婚するって噂聞いてくるし……。でも、あたし、恭平から、ちゃんと結婚の話し一度も聞いたことないから……だから、あたしと別れたいんだなぁって……。恭平を苦しめたくないから、恭平のすきなようにしていいよ……」

「樹理っ。なに言ってんだよ。何の話しをしてるんだよ。大丈夫か?」

「あたしは、大丈夫だよ。恭平に嫌われても、いつか……時間が……解決……して……」

あたしは、また泣き出した。


もう、これ以上はしゃべれないよ……辛いよ。


「樹理ちゃん、樹理ちゃんが好きな人は誰なの?」

若月先生が聞いた。

「……恭平。……恭平が好き。恭平が好き」

恭平は、あたしをギュッと抱きしめてくれた。

「大丈夫だ、どこにも行かないから。樹理、大丈夫だ。俺が好きなのは樹理だけだ。他に女なんていないから、子供だって中絶する気なんか更々ないからな、俺とお前の大切な子供なんだぞ。樹理、聞いてるか?樹理」