ちょっとだけ、ちょっとだけ好奇心があった。
「うちに、できるのかな?」
侑兄はうなずいた。
「当たり前だよ。」
侑兄に励まされるときに見せる笑顔は、心地よくて大好き。
「うち、頑張ってみるよ。バンドも、男もっ!(笑)」
侑兄は立ってうちを叩いた。
「よしっ!じゃあ今日から特訓な!実は今日から3日けっこう暇だしね。俺の家に泊まりに来いよ!」
「おうっ!」
うちはガッツポーズを作って見せた。
「あ!!!」
部屋から出ようとした侑兄が叫んだ。
「自分のこと『うち』とか言うなよ?もう『俺』だから」
「はいっ」
そして、その日から侑兄の男度強化(?)合宿が始まったわけで、(笑)
まぁ電話で1日1回話すだけだけど。
「もしもーし」
”はい、崎村です”
「侑兄?」
”おうっ!訓練ね(笑)てか、もう必要ないじゃん!”
「そ、そう?」
”なんだぁぁぁ。やればできんじゃん!!”
「じゃあ、明日から行っても大丈夫だと思う?」
”じゃない?”
侑兄も大雑把だよなぁ…
明日、高校の音楽室で練習しているらしいので、侑兄が連れていってくれるそうだ。
明日から俺はキーボードを弾ける、バンドに入れる。
そして、男として生きてゆく…───