今。部屋にいる。
てか、情報誌を片っ端から読みあさってる状態で。
高校行かないんなら、仕事しないとね。
親孝行もしたいし
”高校生不可” うち一応高校生なのか?無理無理っ
”時給400円” や、安い!!無理無理無理~!
”大卒以上” 大卒以上って…大卒以上に何があるの!?無理無理無理無理無理~~!!!!
最後の一冊を閉じ、放り投げる。
うち何もできない気がする・・・
うんざりして、ベッドにダイブ。
その時、
ガチャっ
「よぉ~っすぅ」
「ぎゃっ!!!!」
「いやぁ ごめん!鍵、開いてたし」
侑兄は、うちのこと何でも知ってて、何でも話せる。
もちろん高校辞めた理由も。
小さいころからずっと一緒だったからかもしれない。
「何、この量(笑)」
「実はさ~っ 仕事探してんの」
侑兄は情報誌を手に取り、ケラケラ笑う。その後、ひらめいた表情。
「そういえばっ」
「ん?」
「”ピンキーピース”って知ってる?」
”ピンキーピース”、それは前まで侑兄が入ってたバンド。
侑兄はキーボードを担当してたんだけど、侑兄の仕事が忙しくなって辞めちゃったらしい。
そこまでは侑兄からも聞いていた
「キーボード足りないんだよね。そんで最近活動してないらしいし」
キーボードかぁ…
うちは小さいころからピアノを習っていた。もちろん性格は男の子そのものだったけどね。
今でも部屋にキーボードがあるから、ちょくちょく触ってるけど…
「そういえば、そいえばさっ 梁ってピアノ弾けたよね?」
「うん、弾けるよ?」
侑兄は顔の前で手を合わせた。
「お願いっっ!!!!! 入ってくんない?」
やってみたいっちゃやってみたい、けど・・・
「うち、人見知りだからね?」
「大丈夫!その辺はぁ…」
侑兄が耳打ちしてきた。いやいや二人きりなら必要ないじゃん!
「えっ?できる・・・よね?」
それは単刀直入に言うと、”男としてバンドに入れ”というものだった。
確かにうちはずっと女子を嫌って、自分の性別さえも恨んだ。
男になりたいなんてことは、数え切れないくらいに思って夢見ていたりもした。