～ワタシと君と～

とっさに口から出た言葉。生意気だったのが燗（かん）にさわったのか、一瞬で笑みが消え、目が鋭く光った。
「バカ？どんな状況か、分かってんの？俺達はあんたを今すぐ、縛りつける事もできるし、殺すのだって、簡単なんだぜ」
「ッ！こ、殺す？」
（死ぬの？誰にも気づいてもらえないまま）
「はぁぁ。嘘に決まってんじゃん。殺せっけど、お頭が許さねぇだろうし。それに、丁度人手不足だったしなぁ。いや、それ以前に、あんたはもう、海賊人にとって必要な人材なのかもな」
「海賊人じゃない」
「今までは、だろ？今日からは立派な海賊人として、あんたは生きていくんだよ。きちんと働いてくれよ」
彼はそう言うと、じゃ、と言って部屋を出ていった。
「働く」。彼の言葉にわたしはただ、不安を募らせる事しかできなかった。