慌てて態勢を立て直し、ふと前を向くと、洞窟があった。
「あれ?」
(こんな近くに洞窟なんて……)
そう思い後ろを向くと、学園の人達は、はるか遠く。いつの間にか遠くまで歩いて来てしまったようだ。
再び洞窟に目を向けると、そこには
[危険!立ち入り禁止!]
の看板。
「…………」
その看板をジッと見る。
「立ち入り禁止?わたしには関係ないけど」
看板を無視して中へ入った。入るなって言われたって入る、入れって言われたら入る。わたしの癖、というか、これはもはや性格上の問題。とまぁ、そんなことは今更どうでもよくて、どんどん進んでいくわたし。
どこまで続くのかと思っていたが、意外と奥深くなく、1分弱程進むと明かりが見えてきた。
抜けると、真っ先に目に入ったのは、茶色い壁。ではなく、大きな船が一隻。
「すごい、おっきい……」
おそらく海賊船だろう。見たことはないので推定の段階だが。
思わず手が出た。
「触るなっ!」
あと少しで船に手がつきそうな時、背後から声がした。
目を向けると、そこには1人の男。服は汚れていてボロボロだ。袖やズボンは破れていて、腰には剣が2本。とても陸地人とは思えなかった。陸地人に剣の所持は禁じられているからだ。
だが、そのことに気付いた時にはもう遅く、わたしは海賊の男に剣の切っ先を向けられていた。慌てて両手を上げる。
「お前、何者だ」
「た、ただの、陸地人、です」
「んなの分かって……ん?お前、黒髪に金と翠玉のオッドアイか……フッ、なるほど」
それから少し考える素振りを見せたかと思うと、ふと剣をしまい、
「悪い悪い、早とちりしちまった。詫びと言っちゃなんだが、乗ってみるか、船に?」
笑顔へ変わり、船を指した。