今でもはっきり覚えてる。




好きだと言った後の凌の間抜け面。



口をポカーンとあけて、目を大きく見開いて……それはそれは間抜け面。








「莉緒!!」



彼が手を振り走ってくる。






ジャラ……


右手に付けたアクセサリーが今日も音を鳴らす。



右に1つ。


左に2つついたピアス。





相変わらず派手なシャツ。



ダボダボのジーンズ。


くたびれた靴。







それから、茶色の髪。



キラキラ太陽みたいな笑顔。




白い歯。







「待った??」


「ううん」


「これ、見て!!」



凌の白い携帯。


私たちのプリクラだけが貼ってある。





「早く!!」


凌に急かされて、画面を覗き込むとそこには作成中のメールが。






_______________

from:凌
subject:おなかすいた
main:ご飯、たべに……

_______________






「何これ?」


凌に訊ねると、凌はニコニコ笑って答える。



「莉緒に送ろうと思ってたんだけど途中になった」


「そうなんだ」


「今から送るね♪」


「いらないから!!」





いつかのような会話。




「送信♪」

えいっと空に向けて携帯を振る凌。





「も〜……」


カバンの中で携帯が震えだす。


仕方ないから携帯を探してると女の人の声がした。