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from:凌
subject:初めまして
main:いつも一緒にいられると思ってた。

俺の隣には、いつも彼女がいてずっとこんな時間が続くと思ってた。

だけど、彼女は俺の傍から離れていった。


『2人だけの世界を作り上げるのは、簡単なこと。
でも世界は私たち2人だけじゃない。
私は他の人とも交わりたい。』


彼女の言葉だ。

どうやら俺は、彼女を束縛しすぎていたんだと、その時やっと気付いた。

できれば別れずにもう一度やり直すことが出来たら……そんなことばかり考えてる。




でも、時間がたてば、彼女との思い出も風化してしまったように薄れて、新しい思い出が心を占めるようになって、
彼女と付き合っていたことが過去に変わっていくんだ。

彼女なしには生きられない。

そう思ってたのに、時間がたてば彼女がいなくても生きてる。


全ては時間だよ。

今は悲しいだろうし、寂しくもなると思う。



だけど、1ヶ月後、1年後……時間がたてばきっと、彼との思い出も彼と交わした言葉もきっと過去になってると思うよ。


それまで寂しくなったら俺にメールしてきてよ

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傷ついた私にはこのメールが傷を癒す薬だった。


同じ痛みを抱えてる。



だからきっと私の気持ちを一番理解してくれるんだと思ってた。





キューピッドのメール下についていたQRコードを取り込んで携帯で一日中メールを繰り返してた。



いつだって、優しい言葉をかけてくれた凌。


次に恋をするならこの人なんだろうな、なんて思ってたけど、彼そっくりな凌を見ると、そんな気もなくなってしまった。






「莉緒?どうした?」


「ううん、なんでもない」


「元気ねぇぞ!!おらっ、もっと笑えよ!」


「何もないのに笑えないよ」


顔はそっくりだけど、凌は彼とは違う。


頭ではわかってるはずなのに、こうしてとなり同士歩いていると昔に戻ったような気がして安心する。