夕食もまだだし


ケーキもまだだし


プレゼントもまだだし



計画が全てパーだけど、澄人に包まれてしまったら、もう何も考えられなくなっちゃう。



いつもより、激しくも果てしなく甘い澄人の情熱を感じながら、あたしは愛された。





───────────・・・・・・



「歌乃・・・・・・・・・」


「どうしたの?今日はやけに抱きつくね。」



愛の営みの後、夕食とケーキを食べてあたしがそれを片付けていると


澄人が抱きついてきたのだ。



「そう言えば、帰って来たときも、慌ててなかった?」


「うん。」


「電話も誰だったの?」


「進河だよ。」


「知里さん?何で?」



手を止めて、聞いてみると。



「部屋に電気が付いてなかったから、歌乃がいないと思ったんだ。」


「うん。」


「買い物かとも思ったけど、やっぱり心配だし、不安だし・・・・」


「不安?」


「あぁ。」



そう言うと、俯いてしまった澄人。



「また、俺の前から知らない間にいなくなったら嫌だから・・・。」



拗ねたような、怒ったような、そんな言い方。




あたしはフフッと笑った後


「ごめんね。」


と呟いた。