名前を呟くと、ホッとしたような顔になった。



「歌乃・・・・・・」



そう言いながらベッドにいるあたしに近づいてくる澄人。



「あの、えと・・・・・・・!」



俯いて何か話そうと思ったら、澄人はあたしをギュッと抱き締めて、大きな溜め息を吐いた。




「はぁ〜・・・歌乃、ごめんな。」


「え?」



何が・・・っていうか何であたし・・・・・・




「俺、ずっとお前のことを避けてたんだ。」



え─────────?



「あたしのこと・・・嫌いに?」


「その逆だよ・・・」



逆は好き。



だけど好きなら避ける必要ないよね?



「お前は付き合ってから、前と違って警戒心とかまるでなくなって、全てを見せてくれるようになってきただろ。」


「うん・・・・・・」


「俺はそれが、どうしようもなく嬉しくて愛しくて、仕方なかった。」




澄人がそんなこと思ってたなんて全然知らなかった。



「じゃぁ、どうして?」


「・・・・・怖かった。好きな気持ちが大きすぎて、仕事にも身が入らないし。だから最近忙しかったんだけど・・・。」


「そう、だったんだ・・・。」


「重いって思う?」


「え?」


「・・・そんな男は重いか?」


「あたしは好きな人なら想われれば想われるほど嬉しいし幸せだよ。」


「歌乃。」



澄人は安心したような声で呟いてあたしを抱き締める腕に力を入れた。



「でもね、澄人・・・・・・」