現代アリス∞

シロネコは変わらず私に手を差し伸べていた。
どうしよう

はぁとため息1つ
恐怖心は消え去った
実際この人たちはもっと危険な人たちなのかと思っていたけどそうでも無さそうだし。
だけどこの人たちが危険じゃ無さそうだからといって付いていくわけにはいかない。

「ごめんなさい、貴方達に付いていくわけにはいかないの」

低調にお断りする
シロネコは私を見て笑顔を浮かべる

「・・・一緒に兎を追いかけよう」

だめだこりゃ
何をいっても返事は『一緒に兎を追いかけよう』
こればかり
これ以上言ってもきっとエンドレスでこの会話が続くだけ

諦めようとしていたその時、クロネコがそっと口を開く

「そいつに何を言っても無駄だぜ。なんせ“魔女”に言葉を奪われちまったからな」
「魔女?」

私は目線をシロネコからクロネコに移した
そうだ・・・
なにも的をシロネコだけに絞る事は無いのだ
交渉ならクロネコとでも出来る

「ねぇ、魔女とか私には関係無いの。もお帰らないといけないから扉の鍵をあけて」

単刀直入にクロネコへ用件を告げた
その言葉にクロネコは少し驚いた様子だった。

「えらく生意気に育ったな、アリス。昔はそんなんじゃ無かったのに・・・」

クロネコは意味不明な事を呟いて深いため息をついた。
なぜため息をつかれなければいけないのか意味がわからない
寧ろ私の方がため息をつきたい位だ
それもとびっきり大きいのを
つられて私もはあ、とため息をついた。

「なんだよ、ため息つきたいのはこっきの方だって」
「な・・・っ」

お前はさっきふかーいため息を私に対してついただろう!!

カチンと何かが頭に当たるような音がした
多分これは私の中で何かが動いた音だろう。
この事について確信を持って言えることはただ1つ
私とこのクロネコと言う人との相性は最悪だという事だけ。
こいつに比べたらヒカルなんてどれだけ親切な事だろう

そうだ・・・ヒカル

私はとっさに閉ざされた扉の方を見た

大丈夫かな
ヒカル・・・もしかするとまだ学校の中に居るんじゃないかな?
私を探して・・・まだ学校の中に居るんじゃないかな

何故か急に不安になった

何でだろう・・・
今日はよく気持ちが動く