現代アリス∞

それは肝試しに限らず全てにおいて・・・

「・・・ここは」

チナツとの思い出の場所
校舎の横に綺麗に並べてあるレンガをひとつづつ退けてその後ろに立て掛けるように置いてあるベニヤ板を退ける。
するとそこに人一人入れそうな穴がぽっかりと開いていた。

「よくこんな所見つけたな」

ヒカルは感心したようにその穴をまじまじと見つめる。
穴は校舎の中側から布のような物で隠されていた

「じゃ、はいろっか」

うん、と私は頷く
ヒカルは穴を塞いでいる布を捲り上げて中に入っていく
私はその間なぜか辺りを伺いながら息を潜めていた。
ヒカルが中に入ってしまうまで私は中に入れない
つまり私は一瞬でも一人になるってことで・・・
きっといつもの私なら失神しているだろうと思うくらい怖い。
今の私は、自分を変えるために必死だった。

臆病な私と
一人ぼっちな私と
『さよなら』するために

-必死だった-

ヒカルは校舎内に入ると穴の中から手を出し私を呼んだ
穴の中から出て来た手はヒカルのものと解っていても不気味に見える。
ぞくぞくと震える肩を抑えて私もヒカルの入っていった穴に続いて入った。
壁は意外と暑い造りになっている。
それでも1~2秒目をつむっていればすぐに出口へと辿り着いた。
出口ではヒカルは手を差し伸べて待っていてくれた。

再びヒカルの暖かい手に自分の手を重ねる


「この部屋は?」

穴から出たその部屋は今は使用されている気配がない
去年までは視聴覚室として使用されていたが今年の入学際の数が少なかったためか教室が余りいくつか未使用の部屋が出来た。
ここもその1つ
真っ暗な教室の中
どこに何があるのかもまったくわからないまま進むのは危ないと思って私は教室の電気をつけようとした。
けど、電気の電源に伸びる私の手はヒカルによって止められた。

「公務員の人がまだいるかもしれない」

言ってヒカルは携帯のライト機能を使い足元を照らした。

「アリスのは俺の携帯の電源が切れた時のために置いといて」

私は携帯を出そうとした手をとっさに止めた。
ヒカルは私を見てクスっと笑った

なんか恥ずかしい

そんな事はともかく