私は今日まで何を思いながら生きてきたのだろう?


自分が何も考えずにがむしゃらに走っている事に
初めて気がついたのは11歳の誕生日だった。
その日から何をするにも関心がもてなくなって
少しずつ人生が楽しくなくなってきた。

やがてそんなことも忘れ去ってしまい
私は自分はもとからこんな冷めた性格なんだと思う様になった。

けどやっぱり一度でも考えたことってのは
どうしても頭の隅に残ってしまうものらしくて
17歳の春
私は再び今までの自分の人生についての不満を
自分の胸に持つようになった。




「アリスは将来の夢とか無いんか?」

その日私にそう言った質問をしてきたのは
同じバスケ部のコウジだった。

「そんなのないよ。夢なんて持ってたって仕方ないし」
「そんな冷めた事言うてたら男よりつかんで」

フンと身を翻してコウジの元を離れる

「無視かよ・・・つまんねぇ女」

つまんない女で結構
私は他の子達がしてる様な彼氏作ったり別れたりとかいう詰つまんないお遊びに何の関心も興味も無い。
というか、なんで他の子達がいちいちそんなたわいも無いことであんなにはしゃげるのかがわからない。

この長いようで短い人生の中

何もしないでぼーっとしているのも何だけど
かといって何かする事があるワケでもなくて・・・

人生80年
人間ってのは生まれてから20年間はただ何となく生きて、さらに60年を今度は何も考えずにただこの地球上でのサイクルを回す為に働きながらすごすんだ。
そんでいつの間にか体が動かなくなって、意識が無くなって、燃やされて土に返る。
人によれば輪廻してまたこのサイクルを繰り返すという人もいるけれど、そんなのは私にとってはどうでもいい事だし。


もっと要領良く
そして何より意味の有る人生ってないのかな?

そんなことを考えながら私はバスケットボールを部活用の鞄にしまってその鞄を持ち立ち上がった。

「・・・早く行かないと・・・遅刻だ」

部活を終えた私は、友達に誘われ先月から始めたジュエリーショップのアルバイトへと向う。
別に宝石なんかに興味は無い。
でも、他のバイトの倍近く自給の高いこの仕事。
魅力的でないと言えば嘘になる。